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小樽インセクト工芸社                    ホタルの飼育方法


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K



カワニナの飼育方法



下の写真1〜3は現在当社でヘイケボタルの餌に

使用しているカワニナの過密飼育状況です。


写真−1                         写真−2

      


ろ過用水中ポンプ2基と対流用水中ポンプ2基を使用した飼育装置で過密飼

育中のカワニナ。 ( 写真−1〜写真−3 )



写真−3





   蒸発した不足分だけの補充水管理で一年間水替え無しでも水は常に最高の
    状態に維持されてます。

   ヘイケボタルの飼育で一番苦労するのがヘイケボタルの餌であるカワニナの
    確保です。

   カワニナの生息場所は流れがわりと緩やかな河川や沼及び水田脇の用水路な
    どが主な生息場所になっております。

   一年を通して生きたカワニナをヘイケボタルの幼虫に供給し続けることは近くに
    良好なカワニナの生息地がないとヘイケボタルの飼育以上に苦労し続けなけ
    ればなりません。

   2日〜3日ごとの給餌に都度カワニナを採集しに行く飼育者は殆どいないで
    しょう.通常はヘイケボタルの飼育と平行してカワニナの飼育も同時に行なって
    いるのが現状と思います。

   苦労して採集してきたカワニナが幾度も給餌に使わないうちに飼育容器の中で
    全滅してしまった等ということは飼育者の皆さんがカワニナの飼育で一度は経験
    した事があると思います。


   カワニナは生息場所に似合はない.我々が思っている以上にデリケートな生き物
    です.ごく僅かな水の腐敗化や酸素不足・餌不足でも弱って死んでしまいます。


   大きな飼育容器の中に少数のカワニナを飼育している場合は水の腐敗化酸素
    不足現象は遅くなるのでそれなりに長生きしますが通常は飼育容器に出きる
    だけ多くのカワニナを確保して安心して飼育したいのが飼育者皆さんの願いと
    思います。

   特に冬季間カワニナを採集する事の出来ない地域に住んでいる飼育者にとって
    は冬季間の飼育に必用とするカワニナの確保と同時にカワニナの飼育をどう
    乗り越えるかが最重要課題と思います。

   以下にカワニナの飼育方法や飼育装置の作り方・飼育時の餌など記しましたので
    少しでもご参考にしていただければと思います。



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カワニナ


Semisulcospira libertina


軟体動物 腹足類 (淡水巻貝類)




   カワニナは雌雄異体ですが,外観では雌雄の区別はできません。

   カワニナの受精方法は体内受精でオスの精子の詰まった精包の状態でメスの
    体内にとり込まれます。

   カワニナは卵胎生で直接幼貝を産みます。

   産まれたばかりの幼貝の大きさは約1mmです.その後の成長は1ヶ月間で約
    1mmづつ成長し続けます。

   産まれてから一年間で通常10mm前後の殻の大きさのカワニナに成長します。
    (写真−4)

   産まれてから一年後.殻の大きさが10mmを越えると産仔可能な親貝になります。

   大きいカワニナでは45mm〜50mmを越えるのもおります。

   冬場の低水温下では産仔する事はありません.春先水温が上昇がるにしたがって
    産仔しはじめ秋以降水温が低下するまでの間複数回産仔します。

   カワニナは成長するにつれて胎殻(殻高の頂部)の部分がかけてくる個体が多く
    なります。

   内臓部と隔離され不要な部分になった胎殻部の殻に含まれるカルシュウム質が
    水に溶け出し欠損しだすものと思われます。

   カワニナの殻高の計測では欠損している頂部を含めた仮想計測が必用です。

カワニナの成長度合い ( 6ヶ月後 〜 36ヶ月後 ) 写真−4



産仔後  6ヶ月後  1年後  1年半後  2年後  2年半後   3年後        

5mm± 10mm± 15mm± 20mm± 25mm±  30mm±



写真−5


遊泳中のカワニナ



   カワニナは雑食性の部類に入りますので飼育では野菜類・生魚・乾物・生肉など
    何を与えてもよく食べますが飼育数や飼育容器の大きさ・飼育方法等を考慮し
    て与える餌をいろいな種類で試してから決める事をおすすめ致します。



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カワニナの飼育装置


飼育装置のシステムには「排水型」と「循環型」及び


「強制流水式循環型」があります。




  @ 排水型飼育装置

   排水型は井戸水や沢水を利用した飼育装置に多く用いられます。

   飼育装置に井戸水や沢水を配管等で引き入れて入水した水量分だけオーバー
    フロー管から排水する方法です。

   排水型飼育方法は常に新鮮な水が飼育装置に入って来るので酸欠や水の腐敗
    の心配などはなくカワニナの飼育方法としては一番理想的な飼育方法です。


   A 循環型飼育装置

   排水型飼育装置は一番理想的な飼育方法ですが井戸水や沢水を簡単に利用で
    きる生活環境にいる飼育者は少ないでしょう。

   通常は熱帯魚用の水槽やプラスチック容器などをそれぞれ工夫してカワニナの
    飼育を行っているのが現状と思います。

   循環型飼育方法には「底面ろ過装置方法(写真−7)」と「外掛け式ろ過装置方法
    (写真−6)」・熱帯魚の飼育に一番多く使われている「揚水型ろ過装置方法
    (写真−8)」等いくつかありますがいずれのろ過方法もカワニナの過密長期飼
    育には不向と思われます。


写真−6  


外掛け式ろ過装置使用の循環型飼育装置


   写真−7                  写真−8

        

                          底面ろ過装置               揚水型ろ過装置


B 強制流水式循環型飼育装置と作り方

( カワニナの過密飼育装置 )

( 小樽インセクト工芸社考案商品 )



                                                写真−9

強制流水式循環型飼育装置全体図

( ろ過用水中ポンプ1基と対流用水中ポンプ1基を使用した飼育装置 )




   排水型のカワニナの飼育装置では常に溶存酸素量の多い新鮮な水が飼育装置
    の中に流入していますのでいくら過密飼育をして餌を多量に与えても水が腐る
    ことはありませんし何を餌として与えても問題は無いのですが.底面ろ過方法
    以外の循環型の場合は飼育水のみのろ過になってしまい底面に蓄積した食べ
    残しの餌やカワニナの糞等多量の有機物質等の沈殿物が溜まり出します。

   水中や底面に蓄積した有機物質が少ない間は水中に含まれるバクテリアがろ過し
    てくれますが飼育日数が経つにつれやがてろ過しきれずに底面部から腐敗しだ
    し酸欠状態になります.やがて飼育水全体が一気に腐敗し逃げ場のないカワニ
    ナは全滅してしまいます。

   底面ろ過方法の場合でも底一面に敷いた子砂利を定期的に掃除しなければなら
    ず掃除に掛かる手間暇もカワニナの飼育数が多くなればなるほど重労働に
    なってきます。

   上記の欠点を取り除いた飼育装置が「強制流水式循環飼育装置」です。

   上層部や中層部からの揚水をやめ小型水中ポンプを飼育槽底面に設置して水中
    に浮遊する食べ残しの有機物質やろ過沈殿物(オリ)を底水と一緒にくみ上げ
    水面上に設置してあるろ過装置(写真−10)で取り除く方式です。


写真−10


ろ過装置部




   飼育装置内にバクテリアが定着し終わると.ろ過装置に設置してあるろ過マットは
    三日間位で交換しなければならないほどのろ過沈殿物(オリ)が大量に溜まりま
    すがろ過マットを洗うか交換するだけで簡単に作業できます。


(写真−11・12)



       写真−11                     写真−12

     

使用中のろ過装置 (ろ過用水中ポンプ2基型)       ろ過フィルター部の拡大



   強制流水式循環飼育装置の水深は8cm〜10cm位で十分です。

   バクテリアの定着後は水の交換はほとんど必用ありません.蒸発した量だけ水を
    補充するだけで簡単に済みます。

   エアーレーションによって酸素の供給と飼育水の対流を促しますが対流用小型
    水中ポンプを別に設置する事で飼育槽内の水全体がスムーズな対流を得れる
    ようにしてます。

   飼育槽内の水の対流を大きくする事で飼育槽底面に蓄積される沈殿物を出来る
    だけ水中に浮遊させ効率的なろ過を得れるようにしてます。

   飼育に使用する容器の大きさやカワニナの飼育数を考慮してろ過用水中ポンプと
    対流用水中ポンプの台数を決めることが大事です。



カワニナの過密飼育ポイント


  ★ 想像以上に排出されるカワニナの糞や食べ残しの餌等多量の有機物質の
      沈殿物を如何に飼育槽底面部から速やかに飼育槽外へ取り出すかがカワ
      ニナ飼育の一番のポイントです。

  ★ カワニナの糞や食べ残しの餌等有機物質等の多量の沈殿物を速やかに飼
      育槽外へ排出できればカワニナは思ってる以上に過密飼育しても長生きし
      ます。

  ★ カワニナの飼育においてもバクテリアの管理が重要です。

  ★ 水槽等循環型飼育装置を使用してカワニナを飼育する場合当社では生野菜
      は厳禁にしております。



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カワニナの餌



写真−13


顆粒状やフレーク状の沈下性の金魚用の餌




   上記の通りカワニナは雑食性ですので野菜類・生魚・乾物・生肉など何を与えても
    よく食べます。

   排水型のカワニナの飼育装置では水が腐ることはありませんので何を餌として与
    えても問題は無いのですが.熱帯魚用などの水槽を使用してカワニナを飼育す
    る場合野菜類は厳禁です.外掛け式や揚水式循環フィルターを使用しても野菜
    類を与え続けた場合はカワニナは簡単に全滅します。

   野菜類を餌として与え続けるとカワニナが食べる以上に野菜類の細胞組織が大
    量に水中に溶け出します。

   野菜類の細胞組織が大量に水中に溶け出すとバクテリアがろ過しきれない状態に
    なり水槽の底部から腐敗し出します。

   カワニナは腐敗酸欠状態から逃げ出す事が出来ず水の腐敗化とともにカワニナ
    は死んでしまいます。

   カワニナはホタルの幼虫以上にデリケートな生き物です。

   当社では「強制流水式循環飼育装置」と沈下性の顆粒状やフレーク状の金魚用の
    餌(胚芽ベースの餌等)(写真−13)を併用する事で長期間カワニナを飼育でき
    るようになりました。

   カワニナの飼育水深は10cmもあれば十分です.あまり深すぎる水深もよくあり
    ません。

   飼育装置の底に多量の小砂利を敷き詰めるとカワニナの糞やろ過沈殿物などが
    スムーズに水中ポンプまで移動しずらくなります.小砂利を敷く場合は少量で
    十分です。

   飼育装置内の底水と沈殿物が上手く循環ろ過出来る用に飼育装置を工夫すれば
    カワニナは長期間生きてくれますので冬場の生き餌に困ることはありません。


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   当社ではホタルの幼虫飼育に幼貝を一切使いません.ふ化したばかりの幼虫に
    もカワニナの親貝を砕いて身の部分のみ餌として与える飼育方法を行っており
    ます。

   採集してきたカワニナを「強制流水式循環飼育装置」や餌の種類・飼育水温・日照
    時間など様々な工夫をすることで難しいとされるカワニナの長期間過密飼育が
    出来るようになりました。

   カワニナの過密飼育が出来るようになると幼虫の飼育数も飛躍的に増やすことが
    出来るようになります。


ご注意


   ◆ カワニナは雑食性の部類に入りますので飼育では野菜類・生魚・乾物・生肉
      など何を与えてもよく食べますが飼育数や飼育容器の大きさ・飼育方法等を
      考慮して与える餌をいろいろな種類で試してから決める事をおすすめ
      致します。

   ◆ 沈下性であれば金魚用の安価な餌で十分まにあいます.熱帯魚用等の少量
      で高価な餌類は必用ありません。

   ◆ カワニナの入手可能な時期に過密飼育時の不慮の事故を考慮してカワニナ
      の一部は冷凍保存しておくことをおすすめ致します。



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